物流の適正化・
生産性向上に向けた
即席めん業界の
自主行動計画
2023.9.28
物流の適正化・
生産性向上に向けた
即席めん業界の
自主行動計画
一般社団法人日本即席食品工業協会
効率的な物流を実現するためには、発荷主事業者、物流事業者(運送・倉庫等)、着荷主事業者が連携・協働して、現状の改善を図るための取組を実施することが必要である。
そのため、協会では、物流の適正化・生産性向上を目指していくことを目的として、「物流の適正化・生産性向上に向けた即席めん業界の自主行動計画」を策定した。
1.発荷主事業者・着荷主事業者として共通する取組事項
(1)実施が必要な事項
■ 物流業務の効率化・合理化
①荷待ち時間・荷役作業等にかかる時間の把握
協会会員は、発荷主事業者としての出荷、着荷主事業者としての入荷に係る荷待ち時間及び荷役作業等(荷積み・荷卸し・附帯業務)にかかる時間を把握する。
②荷待ち・荷役作業等時間2時間以内ル-ル
協会会員は、物流事業者に対し、⾧時間の荷待ちや、運送契約にない運転等以外の荷役作業等をさせてはならない。
協会会員は、荷待ち、荷役作業等にかかる時間を計2時間以内となるよう努める。その上で、荷待ち、荷役作業等にかかる時間が2時間以内となった場合は、更なる時間短縮に努める。
また、協会会員は、物流事業者が貨物自動車運送事業法等の関係法令及び法令に基づく命令を遵守して事業を遂行することができるよう、必要な配慮をしなければならない。
③物流管理統括者の選定
協会会員は、物流の適正化・生産性向上に向けた取組を事業者内において総合的に実施するため、物流業務の実施を統括管理する者(役員等)を選任する。物流管理統括者は、物流の適正化・生産性向上に向けた取組の責任者として、販売部門、調達部門等の他部門との交渉・調整を行う。
④物流の改善
発荷主事業者・着荷主事業者の商取引契約において、物流に過度な負担をかけているものがないか検討し、改善に努める。
■ 運送契約の適正化
⑤運送契約の書面化
運送契約の書面化に努める。
⑥荷役作業等に係る対価
協会会員は、運転者が行う荷役作業等の料金を支払う者を明確化し、物流事業者に対し、当該荷役作業等に係る適正な料金を対価として支払う。
⑦運賃と料金の別建て契約
運送契約を締結する場合には、運送の対価である「運賃」と運送以外の役務等の対価である「料金」を別建てで契約することに努める。
⑧燃料サーチャージの導入・燃料費等の上昇分の価格への反映
物流事業者から燃料サーチャージの導入について相談があった場合及び燃料費等の上昇分や高速道路料金等の実費を運賃・料金に反映することを求められた場合には協議に応じる。
■ 輸送・荷役作業等の安全の確保
⑨異常気象時等の運行の中止・中断等
台風、豪雨、豪雪等の異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、無理な運送依頼を行わない。また、運転者等の安全を確保するため、運行の中止・中断等が必要と物流事業者が判断した場合は、その判断を尊重する。
(2)実施することが推奨される事項
■ 物流業務の効率化・合理化
①予約受付システムの導入
トラックの予約受付システムの導入に努め、荷待ち時間を短縮する。
②パレットの活用
パレットの活用に努め、荷役時間等を削減する。
③入出荷業務の効率化に資する機材等の配置
フォークリフト作業員待ち等の荷待ち時間が発生しないよう、適正な数のフォークリフトやフォークリフト作業員等、荷役に必要な機材・人員の配置に努める。また、入出荷業務の効率化を進めるためデジタル化・自動化・機械化に取り組む。
④検品の効率化・検品水準の適正化
検品方法や返品条件等の検品の効率化・検品の適正化を推進し、返品に伴う輸送や検品に伴う拘束時間を削減する。
⑤物流システムや資機材(パレット等)の標準化
物流に係るデータ・システムの仕様やパレットの規格等について標準化を推進する。
パレットの活用に当たり、これからパレット化を図る荷主事業者は、協会が推奨する平面サイズ 1,100mm×1,100mm または、1,000mm×1,200mmのパレットの導入を検討する。
物流に係るデータ項目の標準化に当たっては、「物流情報標準ガイドライン」を参照し、ガイドラインのメッセージに準拠するなど、他データとの連携ができるよう留意する。
⑥輸送方法・輸送場所の変更による輸送距離の短縮
トラック輸送の輸送距離を短縮し、トラック運転者の拘束時間を削減するため、⾧距離輸送におけるモーダルシフト、幹線輸送部分と集荷配送部分の分離、集荷先・配送先の集約等に努める。
⑦共同輸配送の推進等による積載率の向上
貨物の輸送単位が小さい場合には、他の荷主事業者との連携や物流事業者への積合せ輸送の実施により、積載率を向上する。
■ 運送契約の適正化
⑧物流事業者との協議
運賃と料金を含む運送契約の条件に関して、物流事業者に対して積極的に協議の場を設ける。
■ 輸送・荷役作業等の安全の確保
⑨荷役作業時の安全対策
荷役作業を行う場合には、労働災害の発生を防止するため、安全な作業手順の明示、安全通路の確保、足場の設置等の対策を講じるとともに、事故が発生した場合の損害賠償責任を明確化する。
2.発荷主事業者としての取組事項
(1)実施が必要な事項
■ 物流業務の効率化・合理化
①出荷に合わせた生産・荷造り等
出荷時の順序や荷姿を想定した生産・荷造り等を行い、荷役時間を短縮する。
②運送を考慮した出荷予定時刻の設定
トラック運転者が輸配送先まで適切に休憩を取りつつ運行することが可能なスケジュールが組めるよう出荷予定時刻を設定する。
(2)実施することが推奨される事項
■物流業務の効率化・合理化
①出荷情報等の事前提供
貨物を発送する場合に、物流事業者や着荷主事業者の準備時間を確保するため、出荷情報等を早期に提供する。
②物流コストの可視化
着荷主事業者との商取引において、基準となる物流サービス水準を明確化し、物流サービスの高低に応じて物流コスト分を上下させるメニュープライシング等の取組を実施し、物流効率に配慮した着荷主事業者の発注を促す。
③発荷主事業者側の施設の改善
荷待ち・荷役作業等の時間の削減に資するよう、倉庫等の物流施設の集約、新設・増設、レイアウト変更等、必要な改善を実施する。
④混雑時を避けた出荷
発・着荷主協力のもと、道路が渋滞する時間や混雑時間を避け、出荷時間を分散させる。
⑤発送量の適正化
発・着荷主協力のもと、荷待ち時間を削減するとともに運行効率を向上させるため、日内波動や曜日波動、月波動などの繁閑差の平準化や、隔日配送化、定曜日配送化等の納品日の集約等を通じて発送量を適正化する。
3.着荷主事業者としての取組事項
(1)実施が必要な事項
■ 物流業務の効率化・合理化
①納品リードタイムの確保
発荷主事業者や物流事業者の準備時間を確保し、輸送手段の選択肢を増やすために、発注から納品までの納品リードタイムを十分に確保するよう努める。
(2)実施することが推奨される事項
■ 物流業務の効率化・合理化
①発注の適正化
荷待ち時間を削減するとともに運行効率を向上させるため、日内波動や曜日波動、月波動などの繁閑差の平準化や、適正量の在庫の保有、発注の大ロット化等を通じて発注を適正化する。
②着荷主事業者側の施設の改善
倉庫等の物流施設の集約、新設・増設、レイアウト変更等を行い、荷待ち・荷役作業等の時間を削減する。
③混雑時を避けた納品
発・着荷主協力のもと、道路が渋滞する時間や混雑時間を避け、納品時間を分散させる。
4.業界特性に応じた独自の取組
上記1.から3.までの取組に加えて、新たな課題が生じた場合には、日本即席食品工業協会の物流問題検討会等の場で十分検討し、会員の合意を得た上で、対応することとする。