即席めん業界における
物流標準化ガイドライン
即席めん業界における物流標準化ガイドライン ver.1
令和5年9月28日
一般社団法人日本即席食品工業協会
働き方改革関連法により、2024 年4 月以降、自動車運転業務の年間時間外労働が上限960 時間に制限される、いわゆる「物流の2024 年問題」では、ドライバーの1 日の運転時間が短くなることで一人当たりの走行可能距離も短くなることから、2024 年はモノが運べない時代になるのではといった懸念が挙がっている。
そこで、この課題解決に向けて、(一社)日本即席食品工業協会では物流問題検討会を立上げ、国土交通省の「加工食品分野における物流標準化アクションプラン」 に準じた 『即席めん業界における物流標準化ガイドライン』 を策定した。
それぞれの項目については、各会員の積極的な対応を期待するものであるが、外装サイズやパレットサイズの変更など、大規模な設備投資や改修を伴うものもあることから、各社の実行可能性や経営戦略にも十分配慮しつつ、取り組むこととする。
なお、会員にはその取り組みの進捗状況について、年1回の進捗確認と見直しを行い、状況に応じてガイドラインの更新に努めたい。
1.標準納品伝票
即席めんにおける標準納品伝票の考え方は以下のとおり。
(1) 用紙・フォーマット
- 加工食品分野における国交省物流標準化アクションプラン/①納品伝票の標準化例に準じて作成した。
- 用紙はA4版縦の上下1枚伝票とする。
- 項目は共通化できる項目のみ規定し、個社の取引形態や製品等により異なる情報は摘要/備考欄に記載することとする。
- 大枠の伝票レイアウトは標準化するものの、個別の項目等については、効率化に支障を及ぼさない範囲内で、項目数、行数・幅、列数・幅等を追加/変更できるものとする。
- 各項目の表現については、原則として、規定された定義や項目長 (byte) に準拠することとする。
(2) プリンタ
- 従来型の専用プリンタは、専用伝票が必要、印刷に時間がかかる、伝票カットの手間がかかる、プリンタの保守・維持費等の課題があったことから、市販の安価なメンテナンスフリーのプリンタの利用を前提条件とした。
- 運送会社での出荷/入庫の際の手入力への対応に関するバーコード/QRコード読取りによる省力化の推進は、各社にて対応が必要。
- 受領書の回収チェックやそれに伴う入出庫処理は、省力化と迅速な対応が必要となる。
※フォーク係、出荷指図書、納品/受領書、入出庫登録、集計等の一元化等。
(3) 電子伝票
- 標準納品伝票(紙)の導入と並行して、伝票電子化の検討を進める。
No | 項目名称 | 項目長(byte) | 文字種別 | 項目定義 | サンプル値 |
---|---|---|---|---|---|
1 | バーコード | – | – | ||
2 | メーカー情報 印字スペース |
– | – | 荷主情報:社名、郵便番号、住所、電話番号、ロゴ等 | |
3 | 発注No. | 20 | 文字列 | 得意先からの注文番 | 11111111 |
4 | 伝票No. | 20 | 文字列 | 荷主の伝票番号 | 22222222 |
5 | 納品日 | 10 | 日付 | 得意先への納品日 | 202X/04/01 |
6 | お届先コード | 10+2 | 半角英数字 | 納品先の得意先コード | 3333333/4444444 |
お届先名 | 54 | 文字列 | 納品先の得意先名称 | A食品(株)B支社 /(株)Cスーパー D配送センター | |
お届先住所 | 180 | 文字列 | 納品先の住所 | 〇〇市 △△ □-□ / ●● ▲丁目▲番▲号 ■物流株式会社内 | |
お届先電話番号 | 5+15 | 文字列 | 納品先の電話番号 | TEL:03-5555-5555 / FAX:03-6666-6666 | |
7 | 帳合コード | 24 | 文字列 | 納品先の帳合1次店得意先コード | 777777777 |
帳合名称 | 54+2 | 文字列 | 納品先の帳合1次店得意先名称 | (株)〇〇食品卸問屋 | |
8 | 品目コード | 10 | 半角英数字 | 各社で管理している品目コード | 88888、999 |
9 | 記号 | 5 | 半角英数字 | 品目の略称・略号 | ABCDE、XYZ |
10 | 品名・規格 | 60 | 文字列 | 各社で管理している品目名称と規格 | 日即協 味噌5食パック |
11 | 個口数 | 5 | 半角数字 | 荷合わせの数量 | 2(※「3cs:1合せ」商品で6csの場合2と印字) |
12 | 入数 | 5 | 半角数字 | 1ケース内の入数 | 12、6 |
13 | 数量(cs) | 8 | 半角数字 | ケース数量 | 6(※「3cs:1合せ」商品で6csの場合2と印字) |
14 | 備考 | 10 | 文字列 | 各社自由に利用可能:製造日付、製造工場記号の印字等 | 202X/04/01S |
15 | 数量(合計) | 12 | 半角数字 | No.14の合計 | 24 |
16 | 摘要 | 80*4行 | 文字列 | 各社自由に利用可能:重量(kg)、出荷区分、倉庫等 |
2.外装表示の標準化
- 外装表示は各社の商品ごとに設計、印字されており、表示内容や表示位置、文字フォント等が異なっている現状であることから、商品特定表示やバーコード等の表示内容、それぞれの表示面での表示位置、識別性・視認性の高いフォントを標準化例とし、商品の仕分けや検品時の作業効率の向上を図ることを目的とする。
- 外装表示は商品を荷役・保管する際に、必要な情報を認識しやすい正面となる面(対面を含む両面)を定めて、一括表記することを基本とする。
- 表示に使用するフォントは、識別性・視認性の高いユニバーサルフォントの使用を基本とする。
即席めん業界における標準外装表示
◆商品を荷役・保管する際に正面となる面(対面を含む両面)を定めて、一括表記にすることを基本とする。
番号 | 項目 | 記載位置 |
---|---|---|
① | 商品コード・記号 | 全ての情報を一括表記する面(対面を含む両面)および上側となる面の右側 |
① | 商品名 | |
① | 入数 | |
② | ITFコード | 全ての情報を一括表記する面(対面を含む両面)の右側 |
③ | 賞味期限 | 全ての情報を一括表記する面(対面を含む両面)の任意の位置 |
④ | ケアマーク | 全ての情報を一括表記する面(対面を含む両面)および上側となる面の左側 |
表示項目・内容
表示項目 | 内容 | |
---|---|---|
① | 商品記号/ 商品コード |
〇視認性の良い黒(もしくは視認性の高い色)抜きで表記する 〇商品記号において、英字の「I」「O」「S」「Z」等、数字と誤認しやすい文字は使用しないことが望ましい |
商品名 | 〇仕分け、検品作業の効率化のため、納品伝票に記載する商品名称での表示を基本とする | |
入数 | 〇(100g×5個)×6パックのようにケースあたりの総入数を表記する | |
② | ITFコード | GS1標準に従って表示する 〇識別コード:集合包装用商品コード(GTIN14) 〇サイズ:横151.4mm×縦41.4mmでの表示を推奨し、横幅のみ0.625~1.0倍の範囲で縮小可能 〇表示位置:側面の右下に表示し、底面より32mm±3mm、右側面より19mm以上 |
③ | 賞味期限 | 〇“賞味期限”の文字の後に、西暦4桁、月、日を表示する |
④ | ケアマーク | 〇荷扱い図記号については、JIS Z0150:2018に準拠する 〇保存方法や使用状の注意(移り香注意等)を表記する場合は、即席めんの表示に関する公正競争規約および同施行規則第2条(6)(7)に従って、視認性のある大きさで表示する |
※表示に使用するフォントは、識別性・視認性の高いユニバーサルフォントの使用を基本とする
3.パレット・外装サイズの標準化
外装サイズやパレットサイズの変更は、大規模な設備投資や改修を伴うものもあることから、各社の実行可能性や経営戦略にも十分配慮しつつ、取り組むこととする。
(1) パレット
- パレットは、11型パレット(1,100mm×1,100mm)及び12型(1,000mm×1,200mm)パレットが主流となっていることから、この2つの規格を推奨する。
(2) 外装サイズ
- 外装サイズは商品ごとにサイズが異なっている現状から、現状サイズと積み付けパターンについて整理した。(参考資料)
- 今後は、パレットへの積載、トラックへの積込み、物流倉庫への保管などの効率性を考慮した外装サイズを検討し、輸配送及び保管の効率の向上に努める。
- 併せて、全体物流のパレット化を見据えつつ、パレット回収の構築を検討する。
4.コード体系・物流用語の標準化
- コード体系・物流用語の標準化については、SIP※スマート物流サービス物流標準ガイドラインを参考に検討する。 詳細については、下記URL より最新の資料で確認すること。
- SIP スマート物流サービスの物流標準ガイドラインの発行について
- https://www.lisc.or.jp/guideline/
※ 内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program